桜将棋物語


今日も将棋三昧で連戦連勝の殿様でありました。今日も連戦連勝で退屈じゃのう。

全国の強い棋士の挑戦を受けようと思った殿様は、

さすらいの旅に出かけることにしました。

 

全国にはいろいろな棋士がいました。それでも殿様は勝ち続けました。

そんな桜の花咲くある日、名古屋城の近くで、

美しく舞っている姫様からの挑戦を受けました。

 

姫様:「殿様、桜将棋という将棋を知っておりますでしょうか?」

殿様:「どういう将棋じゃのう。」

 

殿様は世にも珍しい桜将棋のあそびかたを教えてもらいました。

さあ決戦です、いざ勝負!!!

 

しかし、殿様は形勢が二転三転した難解な戦いでしたが、

最後は惜しくも負かされました。がっくりうなだれてしゃがみ込みました。

もう1度挑戦したいと思って顔を上げたのですが、

煙を巻くがごとく、姫様の姿はどこにも見えませんでした。

 

毎年、殿様は桜将棋を覚えてもう1度姫様に挑戦したいと思って、

桜の花咲く季節に名古屋城の付近を歩きまわりますが、

もう2度と姫様は現れませんでした。

 

あの時指した桜将棋、忘れられんのう。

そう思った殿様は、あの時教えてもらった桜将棋を

全国の子どもたちに広く語り継いだとさ。

 

さすら旅

桜舞ひ酔ひ

いざ参る

語りつくせぬ

名勝負

 

おしまい(終)